小説

連作小説『狂い死のポルカ』②

源三郎は江戸へ参りたいと思った。江戸には最先端のクラブがある。ゴリゴリのEDMで腰が砕けるほど踊り明かしたいという夢があった。そのためには、この現状をなんとかしなければなるまい。父上に頼んでみたところで徒労であろう。父上はクラシック信奉者でED…

連作小説『狂い死のポルカ』①

東海林源三郎は狂っていた。故に刀を持たせて貰えなかった。源三郎の家は、代代続く名士の家系である。源三郎の祖父は先の関ヶ原合戦でその名を轟かせたが歴史には残らなかった東海林定吉だ。何故、定吉は歴史に名を残すことができなかったのか。それは定吉…

短篇『マゴット・ブレイン』

くしゃみをしたら脳みそが少しでた。鼻から。ティッシュにこびりついた赤黒いどろどろしたそれは明らかに脳みそだった。おれはそれを鼻から吸い込み、ひとまず元通りにしたけれど、鼻から脳みそがでてきたという事象に戸惑いを隠せなかった。弱った。あんな…

創作短篇『涯への散歩』

月を見すぎたら、目が馬鹿になった。視界にずっと月の残像がゆらめいてる。世間がスーパームーンなんて騒ぐから、ちょっと見てみようってんで外に出て月ガン見してたらこれだよ。月の光はマジでヤバい。ずうっと見てたら目の奥がこうじんじんしてくる。普段…

創作短篇『寒の戻り』

自分のことを道化師とか言ってるやつはどうせ太宰治の短編集かなんかを読んで感化されちまった哀れな野郎でしかない。新潮文庫かなんかで読んだんだろう。たぶん。本屋に行くと必ず置いてあるもんな。共感した、みたいなポップなんか添えちゃってさ。太宰に…